バッハ インヴェンションとシンフォニア 楽譜はどれを選ぶ?おすすめは?

小学校低学年頃からみんなが通る道、J.S.バッハ インベンションとシンフォニア、多くの出版社の楽譜があり選択肢がとても多く、それぞれに特徴があります。

楽譜を何冊も用意するのは難しい
手にとってみてもどれを選べばいいか…

私が持っている楽譜は、たくさん出版されている中のごく一部ですが、お気に入りをご紹介したいと思います。

目次

手に入る楽譜がたくさん!

こちらをご覧ください

バッハ インヴェンションとシンフォニア 楽譜 

・・・とamazonで検索してみるとこんなにもたくさんの選択肢が。
たくさんあるのは嬉しいけれど、多すぎてどれを選んでいいのか迷うところです。

私の中で選ぶ基準となるのは大きく次の3点です


⚫︎原典版か校訂版か、またはアナリーゼなど分析の色合いが強いものなのか
⚫︎日本語の解説があるか
⚫︎指番号が書かれているか ⇒ どんな指番号か

1つずつ見ていきます

原典版か実用版か、またはそのどちらでもなく解説書なのか

そもそも原典版とは?

簡単に言うと『作曲家の意図を最大限に反映することをめざした楽譜』です。

原典版の代表格とも言えるヘンレ版。
そのサイトに、原典版とはどういうものか、というとても詳しい説明があります。
以下、長くなりますが引用します。

創業以来、G. ヘンレ出版は「原典版の出版社」です。19世紀から20世紀への変わり目に「原典版」という概念が登場してからというもの、常に議論の的となってきました。ここで、「原典版」の基本的な観点をまとめてみましょう。

基本的な考えは、非常にシンプルで納得がいくものです。それは、他でもない作曲家の意図に沿った楽譜を音楽家に提供することです。改変されていない、つまり校訂者や出版社によって変更されていない楽譜です。

これは当たり前のことだと思われるかもしれません。しかし、20世紀になってもなお、特に18世紀の作品は非常に歪められた形で出版されていました。というのも、著名な音楽家たちが「どのように」演奏するかを考慮したときに、楽譜は不備がある、あるいは間違った形で伝わっていると信じて疑わなかったからです。そういった音楽家が独自の判断や見聞きした人の証言に基づき、楽譜を修正、補足し、体裁を整えました。基本的に、原典史料が用いられることは全くありませんでした。さしあたり入手できる版を改訂することがよく行われましたが、その版はおそらく、すでに原典とは異なるものだったでしょう。その結果、本来の楽譜は著しく歪められていきました。時には見分けがつかなくなるほど変わってしまうこともありました。

原典版と名乗ることができる楽譜を出版するために、文献学を学んだ校訂者が、まずは改変された層を取り除きます。例えるなら、何世紀も前に描かれた絵画が、修復によって本来の姿を取り戻すようなものです。校訂者はその際、史料批判と呼ばれる方法を用います。これまでに伝わってきた史料(手稿譜や印刷された楽譜)が作曲家に認められているのかどうかを調べます。最も説得力のある楽譜は自筆譜、つまり作曲家本人が書いた楽譜です。しかし、作曲家の自筆譜は残されていないことが多く、存在したとしても、他にも作曲家が認めた史料(初版など)がないかを調べなくてはなりません。というのも、楽譜を出版する過程で作曲家自身が関わり、そこで新たな書き込みを行うことがよくあるからです。その理由から、「原典版」が作曲家の自筆譜と同一であると考えることはできません(残念ながら現在でも多くの音楽家が誤解していますが、原典版という用語自体が明解ではないという原因もあります)。

G.ヘンレ出版

ちょっと専門的な部分もありますが、興味深い文章です。

原典版には作曲家が書き残していない強弱記号、アーティキュレーションなどは基本的に書かれておらず、指番号が全く書かれていないものもあります。

2声のインヴェンションをこれから始める生徒さんにおすすめする場合

原典版は是非1冊持ってほしいな
でも最初は原典版1冊だけじゃなくて参考になるものもあるといいね

と、考えています。

実用版・解説書

そこで選択の可能性に加わってくるのが

⚫︎実用版などと呼ばれる強弱やアーティキュレーションを加えたもの
⚫︎アナリーゼ、解釈など、言葉による解説を直接楽譜に書き込んだもの

このような楽譜を参考にして勉強するのはとても有意義👍

書かれているアーティキュレーションや強弱を見て、バッハが書いたものだと思い込んでしまわないために、
そして何より想像力を封印してしまわないために、
弾く練習は原典版でしてほしい、と生徒さんには伝えています。

原典版のお勧め

ヘンレ
ベーレンライター
ウィーン原典

などの原典版を持っています。

原典版という性格上ほぼ違いはないかと思いきや、タイがあったりなかったりちょっとした違いはけっこうあります。

いちばん違うのは指番号。特にシンフォニアは指番号ひとつ違うと苦行のように難しくも、スムーズに弾きやすくもなるので本当に重要です。
何冊かを見比べて参考にしています。

解説の内容や装飾音付きの版の付録があるか、なども大きな選択基準。

装飾音付きの楽譜を楽しみたい ベーレンライター原典版

ベーレンライター原典版は、シンフォニア5番が特にマニアック😆
『自筆譜+バッハ直筆による装飾音の書き込みがある2つの筆写譜の比較対照』
なんてものが載っています。

ほぼ同じ…間違い探しレベルです。

私が持っているのは、以前日本で出版されていたライセンス版ですが、現在では絶版のようです。
表紙に日本語、解説も日本語。

指番号がいい! カワイ出版

『原典版』とは謳われていませんが、校訂者前書きには以下のようにあります。

この楽譜の校訂にあたっては、主として次の三つの原典資料を参照しました。

A 1723年の自筆譜(東ベルリンのドイツ国立図書館所蔵 Mus.ms.Bach P610
B 1720年の「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」手稿譜(アメリカのエール大学音楽学部付属図書館所蔵)
C バッハの弟子ヨーハン・ニーコラウス・ゲルバーによる筆写譜<1725年>(ハーグの国立博物館所蔵)

このうち最も基本的なのは、もちろん、バッハ自身が清書した1723年の自筆譜ですが、バッハと長男フリーデマンの手で書かれた資料Bも「インヴェンション」の最初の草稿として重要で、資料Cにもバッハ自身の興味深い加筆が含まれています。これら三つの資料のあいだには、特に装飾音に関して、かなり大きな相違があります。このエディションでは資料Aを主体とし、加筆の装飾音は小さな形で示しておきました。音部記号や臨時記号を現代の慣用に従って改めたのを除けば、原典資料をできるだけ忠実に再現し、原典にない演奏記号などはいっさい付加しませんでした。アーティキュレーションやダイナミクスなどは、学習者自身が発見すべきだと信じるからです。その際にはもちろん、指導者の意見や、このエディションに付された金澤桂子さんの運指・演奏解説を参考にしてください。

1980年11月 角倉一朗

校訂者前書きより

この楽譜の素晴らしい点は指番号。
本当に嬉しくなる指番号がたくさんです。

実用版などのお勧め

今は多くのアナリーゼ楽譜や書籍が出版されている時代。楽譜売り場で手に取って選ぶのがベストとは思いますが、ひとつ挙げるならばこちら。

解説が魅力 全音楽譜出版社 市田義一郎・編

バッハ研究で知られる市田儀一郎さん校訂、解説です。
とてもわかりやすい解説が巻頭にあります。

実用版と言っていいのか?というくらい加筆は少ないです。

調性やカデンツなど大まかな構成が書かれ、さらにモチーフに基づくアーティキュレーションの提案が『コンマ』で区切られています。

シンプルで見やすく、わかりやすい✨

番外編

驚くほどのこだわり デームス版

こちらは完全に番外編。

2年前に亡くなられたピアニスト、イェルク・デームスさんが作られた版。
ほぼ全ての音(😱)に指番号がふられ、強弱やアーティキュレーションもたくさん。

デームスさんの感情、歌、音が伝わってくる特別に興味深い版ですが、あいにくとても手に入りにくいようです。

最後に

バッハが大好き。
だけどバッハは本当に大変。
けど弾きたいし弾いてほしい。

ピアノを学習する人が皆、少しでも滑らかにバッハの歌に触れていければ…と願っています。

初めてこんなに長いブログ😅
読んでいただきありがとうございます😊

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